方位を判断する以外にも、九星気学には様々な活用方法があります。
その中の一つである傾斜法は、九星気学の活用の幅を大きく広げてくれます。
このページで傾斜のしくみや活用方法を確認しましょう。
傾斜(けいしゃ)とは、性格や運勢など様々な判断に用いることができる考え方です。
例えば傾斜で性格を判断する場合、本命星で占う性格が人の表面に現れる性質を判断するのに対して、傾斜で占う性格は人の内面に存在する性質を判断するために用います。
傾斜を用いることで本命星や月命星とは異なる角度からの判断ができるようになるため、九星気学をより深く活用するには傾斜の考え方は欠かせません。
傾斜を求めるには、本命星と生まれた月の月盤が必要となります。
生まれ月の月盤上で、本命星がどの位置にあるかによって傾斜を求めます。
なお、本命星と月命星が同じ場合は「中宮傾斜」となり、特殊な求め方が必要となります。
傾斜には以下の8つがあります。
傾斜宮 | よみ | 対応する九星 |
---|---|---|
坎宮傾斜 | かんきゅうけいしゃ | 一白水星 |
坤宮傾斜 | こんきゅうけいしゃ | 二黒土星 |
震宮傾斜 | しんきゅうけいしゃ | 三碧木星 |
巽宮傾斜 | そんきゅうけいしゃ | 四緑木星 |
乾宮傾斜 | けんきゅうけいしゃ | 六白金星 |
兌宮傾斜 | だきゅうけいしゃ | 七赤金星 |
艮宮傾斜 | ごんきゅうけいしゃ | 八白土星 |
離宮傾斜 | りきゅうけいしゃ | 九紫火星 |
傾斜(傾斜宮ともいいます)の性格は、対応する定位の九星の性質により判断します。
例えば坎宮傾斜であれば、一白水星の性質が現れます。(図1.定位と宮の関係参照)
巽宮 | 離宮 | 坤宮 |
震宮 | 兌宮 |
艮宮 | 坎宮 | 乾宮 |
図1.定位と宮の関係
ここでは本命星が一白水星、月命星が三碧木星の人を例に、傾斜の求め方を説明します。
三碧木星の月盤を参照し、本命星の一白水星がどの位置にあるかを確認します。
一白水星は震宮の場所にあることがわかります。(図2.三碧木星の月盤参照)
よって、本命星が一白水星、月命星が三碧木星の人は震宮傾斜だということがわかります。
巽宮 | 離宮 | 坤宮 |
震宮 | 兌宮 |
艮宮 | 坎宮 | 乾宮 |
図2.三碧木星の月盤
本命星と月命星が同じ場合、月盤の中宮に本命星が位置するため、そのままでは8つの傾斜宮に当てはまりません。
そのため、中宮傾斜の場合は本命星と月命星の組み合わせごとに傾斜宮が決まっています。
さらに本命星と月命星がどちらも五黄土星の場合のみ、性別によって傾斜宮が分かれます。
詳細は、以下の表1.中宮傾斜の傾斜宮一覧を参照ください。
表1.中宮傾斜の傾斜宮一覧
本命星 | 月命星 | 傾斜宮 |
---|---|---|
一白水星 | 一白水星 | 離宮傾斜 |
二黒土星 | 二黒土星 | 乾宮傾斜 |
三碧木星 | 三碧木星 | 巽宮傾斜 |
四緑木星 | 四緑木星 | 震宮傾斜 |
五黄土星 | 五黄土星 | 兌宮傾斜(男性) |
乾宮傾斜(女性) | ||
六白金星 | 六白金星 | 坤宮傾斜 |
七赤金星 | 七赤金星 | 艮宮傾斜 |
八白土星 | 八白土星 | 兌宮傾斜 |
九紫火星 | 九紫火星 | 坎宮傾斜 |
それぞれの傾斜宮の性格を確認しましょう。
坎宮傾斜は一白水星の象意が現れます。
流れる水のように穏やかで、どのようなところにも収まる高い順応性を持っています。
相手の感情を理解しそれに合わせて上手に立ち振る舞うことができるので、悩みや愚痴を打ち明けられたりと、相談役になる人が多いようです。
しかし、気をつかえるが故に気疲れも多く、内面はあまり穏やかではありません。
デリケートで警戒心が強いので、深く付き合う人は選ぶ傾向があります。
心を開いて本心から仲良くなるには相当の時間かかるでしょう。
何事もじっくりと考えるタイプなので、執着心や嫉妬心も人一倍強い傾向があります。
そのような気持ちを上手く発散できずストレスを溜め込んでしまいがちなので、自分自身のケアも忘れないようにしましょう。
坤宮傾斜は二黒土星の象意が現れます。
穏やかで真面目、優しく相手を受け止める包容力は安心感を与えます。
派手さはありませんが、どのようなこともコツコツと努力を続ける忍耐強さを備えています。
周囲からの信頼も厚い、縁の下の力持ちタイプです。
野心は無く安定志向なので、大きな失敗はありませんが大成功とも縁が無いでしょう。
逆に、欲をかいてしまったり、身の丈に合わない行動をとると、失敗する傾向があります。
自己主張は控えめで優柔不断なところがあり、多少無理をしてでも人に合わせてあげることが多いため、ストレスがたまりがちです。
付き合う相手を選んだり適度な距離感を保つなど、負のエネルギーをためない工夫も大切です。
震宮傾斜には三碧木星の象意が現れます。
積極的で行動力があり、若々しくエネルギーに溢れた気質を持っています。
明るく社交性もあり、世代を問わず多くの人から好まれます。
考えるよりも先に体が動くタイプで好奇心が旺盛。新しいものや珍しいものはどんどん体験・吸収して、自分のものにしてしまいます。
しかし興味が薄れるのも早く、あれこれといろいろな物に手を出してしまい、何事も中途半端になりやすいようです。
さらに我が強くせっかちなので、他人の意見に耳をかさず無用な失敗をする傾向もあります。もう少し冷静になって考えていれば、と後悔することも多いでしょう。
特に若い頃は成長に中身が伴わず、同じ失敗を繰り返しやすいので、謙虚さと粘り強さを身につけましょう。
巽宮傾斜は四緑木星の象意が現れます。
コミュニケーション力が高く、気配り上手なため、人から愛される性格をしています。
調和を重視して人と人をつなぐことが得意なので、スムーズな人間関係を築くのに一役買うことでしょう。
平和主義者で控えめな性格なので、自分の意見を言う前に、相手を傷つけたくない怒らせたくないという気持ちの方が前に出てしまうようです。
自己主張や意思決定は控えめで、周囲には八方美人とか優柔不断といった印象を持たれることが多いでしょう。
過度な気づかいはお互いにメリットは無いので、言うべき時にはきちんと自分の意見を伝えるようにしましょう。
乾宮傾斜は六白金星の象意が現れます。
責任感が強く真面目で、物事を完遂する粘り強さを持っています。
強い意志と行動力、さらには向上心もあるので、常に目標を持って努力を続ける力があります。
その反面、自分の意見を伝えることや、空気を読んだ発言は苦手な傾向があるようです。コミュニケーションでは苦労する人が多いでしょう。
完璧主義で自分にも他人にも厳しいところがあるので、独特の緊張感のある雰囲気をまとっています。リーダーとしては非常に頼れる存在ですが。周囲の人は付いていくのに苦労するかもしれません。
また几帳面で不正を許せないタイプなので、融通がききません。時にはカタブツと思われて、煙たがられることもありそうです。
相手の意見にもしっかりと耳を傾け、心に余裕を持って他人とも自分とも接することが大切です。
兌宮傾は七赤金星の象意が現れます。
愛嬌があり、コミュニケーション力に優れており、その場を明るくするムードメーカータイプです。
空気を読んで上手に立ち回ることができるので、社会の様々な出来事も苦労なく乗り越えていくことができます。
そのような性質の影響もあり、楽観的でハングリー精神に欠ける面があります。
大変な状況であっても、なんとかなるさと重く受け止めることがなかったり、もうひと踏ん張りの努力が苦手なようです。
物事についてじっくり考えてみたり、ひとつ上のレベルのゴールを目指して頑張るなど、自分の成長について一度考えてみると良いでしょう。
華やかな外見とは対象的に、内面は非常に頑固なところがあります。
自分の考えに固執したり、高いプライドが邪魔をして素直になれないなどの傾向が見られます。
内面を上手にコントロールすることで、持ち前の愛嬌の良さやコミュニケーション力の高さが際立ち、よりいっそう人望を得たり人脈を広げていくことができるでしょう。
艮宮傾斜は八白土星の象意が現れます。
意思が強く一途な努力家なので、大きな目標も達成できる力を持っています。
几帳面で金銭感覚もしっかりしているので、ギャンブルや散財には無縁です。
しかし、人に指図されることを好まず、自己表現が苦手なこともあり、お世辞にも世渡り上手とは言えません。
基本的に自分の決めた道をコツコツを堅実に歩んでいくタイプなので、周囲には協調性がない、自己中心的などといった印象を与えてしまいます。
基本的に物事をメリット・デメリットで判断する傾向があり、そのうえ淡泊なので、付き合う人を選ぶでしょう。
もともと地力があるので、一人で生きていく力は備わっていますが、社交性と協調性を身につけることで思いも寄らない発見があり、さらに自分を成長させる鍵になるでしょう。
離宮傾斜は九紫火星の象意が現れます。
優れた直感力と決断力があり、強く興味を惹かれたものには寝食を忘れて没頭します。
頭も良いのでどのようなことでも人並み以上のスピードで理解したり、こなせるようになってしまうので、飽きっぽいところがあります。
自分の美意識やポリシーを大切にするので、空気を読んだり相手の気持ちに合わせるといったことが苦手です。
集団の中ではリーダーのような立場であればよいですが、相手から指示されるような立場だと息苦しさを感じたり、些細なことでも気に障ったりする傾向があります。
また物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを大切にするので、相手の打算的な面や下心を感じ取るといっきに冷めてしまいます。
多少の意見の違いや理想とのギャップはサラリと受け流して、自分が心からエネルギーを注げることに集中しましょう。
傾斜の活用法は幅広く、月盤上の方位神との組み合わせることで様々な運勢を判断することもできます。
生まれ月の月盤で自分の傾斜宮がある方位に方位神が存在する場合は、人生における全体的な運勢の傾向を判断することができます。
方位神の中でも良い効果が期待できる吉神が傾斜宮の方位に存在している場合は、周囲の助けや良い出会いに恵まれるなど、様々な場面で幸運や福徳を授かる機会が多い傾向があります。
反対に傾斜宮の方位に凶神が存在している場合は、人生に波乱が多く、困難や障害に行く手を遮られることが多い傾向があります。
八雲院では、生年月日から九星を調べるページや、有名人占いページ、会員専用のマイページにおいて、ご自身の傾斜宮にかかる方位神も確認できるようになりました。
方位神については吉凶方位の種類のページで詳しく説明しています。
傾斜宮の方位に吉神が存在する場合の例を確認しましょう。
月盤 | 1970年11月 (方位神表示) |
月破 | 月徳合 |
天道 天徳 月徳 |
天徳合 生気 月空 |
図3.1970年11月の月盤
図3は1970年11月生まれの方の月盤です。
この方は、本命星:三碧木星、月命星:五黄土星です。傾斜は東の震宮傾斜となります。
東の方位神を確認すると「天道・天徳・月徳」と3つの方位神が存在しています。
よってこの方は、周囲の助けや良い出会いに恵まれるなど、様々な場面で幸運や福徳を授かる機会が多い、というような判断ができます。